去年の夏、長崎へ行きました。長崎では、江戸末期庶民の間で人気のあった、川越地域で織られている縞柄の良質な綿織物、川越唐桟の歴史について学びました。
元々、室町時代の終わり頃、唐桟はポルトガル人によって、その後オランダやインドからも長崎港を通じて持ち込まれました。そこから川越まで伝わりました。当時日本では綿は栽培されておらず、とても貴重で高価な布の一種でした。
1624年頃、日本での綿産業も発展し始めましたが、まだ品質も低く、糸は短いものしかありませんでした。
19世紀の終わり頃、日本が鎖国から開国した頃、マンチェスターから高品質な綿の糸が横浜に持ち込まれました。川越の織元は、この綿を川越唐桟を織るのに使用し始めます。そして、その布は、絹のような柔らかい触り心地と見た目でとても有名になります。
このお話は、長崎、川越、そしてイギリスを結び付ける物語になると思い、新しい着物生地の製作と共に語ろうと思っていました。
私のデザインには、ターコイズ色とオレンジ色の縞を配し、唐桟を長崎に持ち込んだ異国の人々が渡ってきた青い海をイメージしました。(彼らは「赤ひげをたくわえた」と表現されたり、描かれたりしています)
紫色と黄色の縞は、紫芋と黄色山吹の花で有名な川越を表しています。
ライムグリーンは私の一番好きな色なので、マンチェスター出身のイギリス人(私)を表しています。
この布は、広い幅で織られており、約5mで一着の着物を縫う事ができます。非対称のデザインなので、どこに緑色を持ってくるかで、何通りか違った雰囲気の着物に仕上げることができます。この布は200mしか生産しない限定品です。
歴史的に、明るい色の着物を着る事は制限されていたので、川越唐桟は暗い色をしています。制約がなくなった今、私とこの明るい色の川越唐桟を着て楽しみませんか?
この布は、こちらホームページから購入できます。
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